2024年1月25日木曜日

パレスチナ連帯! イスラエルはガザ虐殺戦争をやめろ! 【第二回】渋谷要

パレスチナ連帯! イスラエルはガザ虐殺戦争をやめろ!——シオニスト入植植民地主義者・イスラエル国家権力を打倒せよ!【第二回】渋谷要

(最終更新 2024・01・29   13:52)  

【第二回】戦争国家イスラエルと「国際社会」

●パレスチナの完全支配を目指すイスラエル国家権力

 今は2024年1月下旬だ。ガザ虐殺戦争の中で、世界に広がる反戦デモが、合衆国政府の政策である「イスラエル自衛権擁護」に対する抗議・批判となってゆくことを恐れた合衆国バイデン大統領の「2国家共存」(オセロ合意で社会契約になっている)にもとづく、イスラエルへの働きかけ(端的には戦闘規模の縮小要請)と、「パレスチナの独立はあり得ない」と「二国共存」を否定し、ガザのパレスチナ人自治の否定を表明するネタニヤフ・イスラエル国家権力との齟齬が、報道されはじめている。そこから、何を読み解くべきか? そのイスラエル国家権力の価値観を批判的に分析した考察が求められていると考える。

  
●「分割」から「追放」へ
 
 イスラエルは、1947年国連によるパレスチナのユダヤ人とアラブ人の分割決議を出発点としつつ、分割(イスラエルの存在が「国際社会」に認められた、そこ)から、今度はパレスチナ人追放という計画として、1947年から、独自のパレスチナ人追放計画を立て(ダレット計画――最近、暴露されたイスラエル諜報省による「シナイ半島への追放計画」は、これを継承するものだ)、1948年イスラエル建国と第一次中東戦争(イスラエル名「独立戦争」)から、対パレスチナ・戦争政策を展開してきた。第一次中東戦争では、パレスチナに居住するアラブ系住民のうち70万人以上が、ガザ、ヨルダン川西岸ーヨルダン、レバノンなどに逃れた。これは「破局(ナクバ)」と言われている。今回のガザ虐殺戦争は、ナクバの再来というべきだ。
 とりわけ、1967年第三次中東戦争では、イスラエルは、ガザ(エジプトから)やヨルダン川西岸(ヨルダンから。イスラエル名「ユダヤ・サマリア」)など、多くの占領地を獲得している。パレスチナ人の自治区、自治政府は、その中にある自治区・自治政府だ。国際連合(「国際社会」)は、イスラエルの領有権を認めていない(国連安保理決議第242号)。また入植地についても「国際社会」は認めていない(戦時・占領地における文民保護を規定したジュネーブ第四条約に対する違反)。
 西岸地区は、ザックリとパレスチナ自治政府の区域と思われている印象があるが、パレスチナ政府が行政権・警察権を持つ地域、パレスチナ政府が行政権・イスラエル軍が警察権を持つ地域、イスラエル軍が行政権・軍事権を持つ地域と三つに分かれ、その内イスラエルの行政支配の領域は60%以上に及ぶ。
●そもそも「2国家共存」は、イスラエルのためにする国家共同幻想だ

1993年オセロ合意によって確認された「2国家共存」以降も、イスラエルの入植侵略はつづき、93年には入植者11万人だったものが、現在は、250以上の入植地に70万人以上が居住している。ヨルダン川西岸は国際連合の規定では「占領地」(国連安保理決議242号にもとづく)だが、イスラエルの「法解釈」では、ヨルダン川西岸は「係争地」とされている。だから、入植は違法ではなく、奪っていいということを、イスラエル「としては」主張するものとなっている。★★結局、「2国家共存」はイスラエルの入植に、歯止めをかけることはできず、イスラエルという存在をパレスチナに認めさせるものだった。それは「2国家共存」というある種の「国家共同幻想」の下で、イスラエルの活動を支えるものとして機能した★★。そして合衆国政府はトランプが大統領の時、入植は合法だ、国際法(ジュネーブ第四条約…戦時・占領地における文民保護を規定したもの)違反ではないと表明した(2019年)。 

★では、どうして、このようなイスラエルの無法がゆるされてきたのか★。イスラエルは冷戦期、中東における欧米の反共突撃隊であり、冷戦後は、反米イスラム勢力に対する西側世界の軍事防衛国家として存在してきたからだ。だから、今でも、合衆国は国連でイスラエルに不利な安保理決議に「拒否権」をこうししているのだ。これは、少なくともこれまでは、合衆国にとって何かの戦術ではなく、「戦略的な選択」としてのことなのである。

●イスラエル的主体形成論とでもいうべきものとは何か?
 そこでは、どのような、国家主義的な主体形成がなされているのか、こういってよければ、単なる「ブルジョア帝国主義」ではない、ものがそこにある。

 ★★★イスラエル国家権力は、以上みてきたように国際法という社会契約とは、関係なくふるまってきた、これがポイントだ★★★。

 そもそもネタニヤフのグループ(リクード)は、2005年におけるシャロン政権(当時)のガザ入植地などからのイスラエルの撤退決定――これ以降、イスラエルは、ガザを包囲し封鎖する「壁」を建設し(「西岸」では2002年から。2004年、ICJ国際司法裁判所は、国際法違反と認定している)ガザを封鎖・管理支配しはじめるのだが、ガザからの撤退は、それ自体「西岸」の入植地を拡大してゆく政策だったが――、ガザからの撤退そのものを批判した勢力だが、その根底にはどのような「価値」が保有されているのか。それは「シオニズム」という一般的な指標ともちがい、むしろ、そのシオニズム(ユダヤ民族のパレスチナへの祖国復帰運動・建国運動として表明されているもの)を確固としたものにしている主体形成論なのである。それはまた、イスラエルの国民皆兵制度をつくってきた正当性の根拠とも連接するものだ。そのイスラエル的主体形成論とでもよぶべきものを照射するのが、『赤いエコロジスト』「イスラエルはガザ虐殺戦争をやめろ!」の次回の課題となる。(つづく)