米帝トランプによる「米国によるガザ地区『所有』」発言を弾劾する! イスラエルによるパレスチナ人追放計画(ダレット計画)の完成を許すな! ——パレスチナ連帯! ガザ虐殺戦争をやめろ!【連載第8回(最終回)】
最終更新/2025・02・14 23:59
●【はじめに】ガザ虐殺戦争の現実
2025年1月末までに、イスラエル国家権力によってガザでは、ガザ当局の発表した数値(2月初旬)で、6万1709名の人民が殺害されている。この数値は、停戦前に発表されていた「約4万5000名」を超え、停戦後、がれきから発掘し、その中で身元確認されたご遺体を含めた、人数だということだ。しかし、それは、すべての生き埋めになっておられる人のすべてではないだろう。さらに、病院や学校、その他の建物、水道施設などに対する決定的な破壊がおこっている。また、国連推計で医療関係者が1000名単位で多数殺害されているという報道がある。全体としては現在は、調査中であり、今現在ここに、数値を明らかにすれば、低く見積もったと批判されかねない可能性がある、そういう状況である。
(一つの参照として:BBC NEWS JAPAN「一年3か月の壊滅的戦争 ガザ地区が受けた被害は」1/18(土)19:51配信。BBCヴェリファイ(検証チーム))。
まさに2025年冒頭、1月19日からの、6週間の停戦が実現した。ハマスなどが23年10月「アルアクサ洪水作戦」によって、つくりだした「人質」と、イスラエルがこれまで不当に拘束していたパレスチナ人の被収監者との交換・釈放が始まっている。
だが、例えば、米帝トランプは大統領就任以後、これまでバイデン政権が停止していた1トン爆弾(分厚いコンクリート壁などを破壊し、爆発も広範囲におよぶ)の輸送を再開している。このように、戦火が収束する見通しは不透明なままだ。
また、この「停戦」の条件をみてみよう。
この場合、ガザとエジプトの境界にある「フィラデルフィ回廊」から、イスラエル軍は撤退するとされている。ここがガザに物資を運び入れることの関係で重要なラインだ。ここで、イスラエルは、この物資輸送系統ハマスのルートになっているとして(ラファ検問所関係)、ここからの撤退に応じなかった、それで、「停戦交渉」が難航していたということがある。これについて、イスラエルが今回、「撤退」を表明したことなどを契機に、この「停戦」は信用できるとなっているのではないか(※他方で、実際は2月以降も、イスラエルによる停戦協定ラインから撤退していないなど、多数の情報が2月以降も、見られるようになっている。「停戦協定違反」の現実については、改めていくつかのメディアの情報を整理して、別にアップする予定)。しかし、それはイスラエルの「UNRWA」を非合法化する国内決議と相即している。これによって、パレスチナ人民への支援物資の搬入は、一層、困難なものとなる。まさに、イスラエルによる虐殺行為が行われているのだ。
●【停戦合意文書での注意点】とパレスチナ人民の闘い
ここでイスラエルとハマスの「停戦合意文書」での、一つの注意点として、以下のポイントがある。ある「回廊を除いて」がポイントだと分析できる。
この合意では「ガザ内の移動をイスラエルが管理するネツァリム回廊を除いて、人口密集地からガザ境界700mの地点までイスラエル軍は撤退する」ということが書かれている。この文書で表示されている、ところの、この回廊はイスラエル軍の軍用道路であり、「ルート749」とも呼ばれており、ガザの中部・南部と北部を分断する横断道路だ。ここにはイスラエル軍の兵舎などが建設されている。こうした回廊は、イスラエルがガザをいくつかの区画に分割して管理支配することを目的としていると考えられるだろう。また、ガザの南北にもこうした道路の構想があるといわれている。こうした回廊によるイスラエル軍の駐留がどのような結果を生むかがポイントになるだろう。
★★★★【追記2/09 23:55】新たな情報では「8日夜から、イスラエル軍がネツァリム回廊から撤退している」との報道がある。これは現実に起こっている、★★多数のパレスチナ民衆が大群をなして、北部に帰還する★★という事態に、【イスラエル軍が対抗しきれない状況が、作り出されている】ということを意味すると推察する。イスラエル政権内では、この撤退を、ハマスを利すると、批判する動きもあるようだ。(テレ朝ニュース 2/09 18:45配信)。イスラエルにとって、この戦争の獲得目標の「一つは」ガザ民衆を南部に密集させ、北部を無人地帯にするということにあった。それによって、パレスチナ人のシナイ半島への強制移住の前提を作るためだ。だから、南北の分断拠点(要衝)である、ネツァリム回廊は、イスラエル軍の死守するべき地点だったのだ。★★まさに「停戦合意文書」で、イスラエル軍の撤退は「ネツァリム回廊を除く」と記されていた、そのことを破って、南北を分断する【「ネツァリム回廊」からのイスラエル軍の撤退が行われている】。
※①この動きは「停戦合意に沿ったものだ」というメディアの記事がある。②また、このイスラエル軍にかわって、合衆国系の民間軍事会社が、検問所などの管理に当たっているという情報がある。【分析は様々だ】。そういう時はまず、民衆の行動をどのような価値認識においてみるかが問われていると考える。北部へ向かう民衆の行動――50万人が北へ向かっているといわれている。まさにこのことは、パレスチナ民衆の北部への帰還への行進は、★★イスラエル軍が押しとどめられないほどの民衆行動★★となっていると、考える必要がある。まずこれが、一番大切なことだ。★★★★
※イスラエル軍は、軍がつくった「緩衝地帯」に接近した者には容赦なく対応するとしている。この「緩衝地帯」とは、イスラエルがガザ地区との境界線上につくったものだ。
●西岸地域におけるイスラエル軍の軍事作戦と都市開発=パレスチナ住民に対する土地強奪
他方、「停戦」後、西岸地域におけるイスラエル軍の攻撃が顕著になってきている。1月21日、イスラエル首相府は、西岸のジェニンで、大規模な軍事作戦を展開したと声明。アルジャジーラは、この戦闘で、難民キャンプが攻撃され、9名が殺害され、40名が負傷したと報道した。また、2月2日、イスラエル軍は、ジェニンでの2週間以上にわたる戦闘で、「武装勢力のメンバー、少なくとも50名を殺害した」と発表した(2月3日AFP)。西岸では2023年10月の戦闘以降、800名以上がイスラエルによって殺害されている。
さらに、西岸では、「東エルサレム」という地域で、市当局が「キングズ・ガーデン」開発という観光地開発政策を実行し、「ダビデ王伝説」にもとづく三千年前の「王の庭」の開発と称して、都市開発を推し進め、パレスチナ人の土地・住居を破壊している。こうしたパレスチナ人に対する強奪・収奪は、この間、米帝トランプが「ヨルダン川西岸地区入植に関する制裁の大統領令」を【取り消した】ことで、さらに、加速されつつある。こうして、パレスチナ人追放計画(ダレット)は、米帝トランプ体制のもとで、加速してゆこうとしている。こうしたなか、問題の中心となって、きているのが、トランプの「ガザ『所有』」発言である。
●【トランプによる「ガザ『所有』」発言】 ——ガザ強奪を許すな!
2025年2月、ホワイトハウスでイスラエル首相・ネタニヤフと首脳会談(2/04現地時間)の後、共同記者会見に臨んだトランプ大統領は、パレスチナのガザ地区について、「アメリカはガザ地区を引き継ぎ、われわれで仕事をする。ガザ地区を所有する」。「雇用、居住を無制限に供給する経済開発を行う」。「世界の人々がそこに住むことを思い描いている」。また、「治安維持」のため「米軍の派遣」を行うとのべた。
さらに、パレスチナ人に対しては「別の場所への再定住」を主張し、必要な費用は近隣諸国が負担することに期待するなどとしている。まさに、この「連載」で、批判してきたイスラエルのパレスチナ人追放計画「ダレット計画」を完成する主張を、トランプはしているのだ。
当然、アラブ諸国はこのトランプ発言を批判している。ガザは・パレスチナはパレスチナ人のものであるということだ。例えば、サウジアラビア、ヨルダン、エジプト、フランスなどがトランプ発言を非難。中国も「パレスチナ人によって統治されるべきだ」との声明を発している。それぞれの立場からの、批判の態度表明がおこってきているということだ。
この場合、確認すべきは、このトランプの言っている「所有」とは、ガザというパレスチナ人の所有地を破壊し、帝国主義的に「強奪」すること以外ではない。
このトランプの「ガザ所有」発言は、2025・1・25の、トランプとヨルダン国王との電話会談で、トランプが「ガザ住民一斉(強制)移住」を主張したこと(記者団の質問に答えた)を、踏まえてのものだ。
トランプのこの「ガザ住民一斉(強制)移住」発言は、2023年10月に表に出たイスラエル諜報省の「機密文書」=「ガザの民間人口の政治的方針の選択肢」(2023・10・23付の文書で、イスラエルのニュースサイト「シチャ・メコミット」が23年10月30日に報道したもの)、また昨年来、イスラエル国家権力のネタニヤフたちが打ち出している「ハマス後の原則」などと同じものだ。このトランプの発言は、ネタニヤフ達にイスラエルの画策するパレスチナ人のシナイ半島への強制移住を容認する、さらに、積極的に後押しすることを表明するものに他ならない。断じて、許すことなど、できない。
まさに、こうした経緯において、トランプの「ガザ『所有』」が表明されたのである。
※本ブログ「赤いエコロジスト」では、「ハマス後の原則」に対する批判は「2024・3・04」にアップの「ガザ虐殺戦争をやめろー第7回」、また、イスラエル諜報省の「機密文書」に対する分析は、2024年2・13「ガザ虐殺戦争をやめろー第5回」の記事の後半で、分析をしている。
●パレスチナに対する強奪・侵略をやめろ!
まさに、ガザの帝国主義資本による強奪(『資本論』に準じるなら「資本の本源的蓄積」という言葉が当てはまるだろう)が、目論まれている。これにパレスチナ人民をはじめとして、中東諸国・中東人民は、反対を表明している。歴史は帝国主義の新しい支配を許すのか、それとも、かかる帝国主義の支配を阻止し、そうした帝国主義の横暴をやめさせるのか、大きな転換点に入っている。
★★★この「連載」は終わりますが、ガザ虐殺戦争、パレスチナに対するイスラエル・米帝の侵略に対する論及は、今後も、【もちろん】継続してゆきます。★★★(了)