【連載】イラン侵略戦争とNSS(米・国家安全保障戦略)2025【第6回】米中争闘戦のアジアーインド・太平洋地域における戦略地図と日米右派・高市一派≪はじめに≫ ≪4・前回からのつづき≫
渋谷要
最終更新2026・04・22 22:27
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※本論での、「米・国家安全保障戦略2025」の訳は、「niming538の日記」2025-12-12,「米国国家安全保障戦略2025全文+翻訳(トランプによる前文付き)NSS2025」に依ります。
NSS(国家安全保障戦略)2025目次————
Ⅰ、序論―アメリカ戦略とは何か
1アメリカの「戦略」はいかにして道を誤ったか
2,トランプ大統領による、必要で歓迎される是正
Ⅱ、アメリカ合衆国は何を望むべきか
1, 我々は全体として何を望むのか
2, 世界において、そして世界から、我々は何を望むのか
Ⅲ、我々が望むものを得るために、アメリカが利用可能な手段とは何か
IV. 戦略
1. 原則 「国家利益の集中的定義」「力による平和(Peace Through Strength)」「非干渉主義への基本的傾向」「柔軟な現実主義」「国家の優位性(国家中心主義)」「主権と尊重」「勢力均衡」「アメリカ労働者重視」「公正性」「能力と実力主義」
2. 優先事項 「大量移民の時代は終わった」「中核的権利および自由の保護」「負担分担と負担移転」「平和を通じた再整列「経済的安全保障――『均衡ある貿易』『重要な供給網および重要物資へのアクセス確保』『再工業化』『防衛産業基盤の再生』『エネルギ―覇権』『アメリカ金融部門の覇権の維持・拡大』」
【★★以上、第2回★★】
3. 地域
「A、「西半球:モンロー主義に対するトランプ・コロラリー(――「参加させる」「拡大」)
【★★★以上、第3回、第4回★★★】
「B、アジア:経済の未来を勝ち取り、軍事的対立を防ぐ」(――「力の立場から主導する」「経済:究極的な利害」「軍事的脅威の抑止」)(★★★【前回第5回】、【今回第6回】【次回第7回】★★★)
//「C、ヨーロッパの偉大さを促進すること」//「D、中東 負担を移し、平和を築く」//「E、アフリカ」。
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≪はじめに≫【日本をイラン侵略戦争の出撃基地にするな】
今回は、「日米右派・高市一派」の軍拡路線に関する「法制的立ち位置」を確認するものだ。その場合、「集団的自衛権」についての考え方が問題となる。
そうしたことを具体的に考えてゆく為にも、今現在、日米安保軍が、どのような共同を実践としておこなっているか? その一端を見ることから始めよう。それがこの≪はじめに≫でかいていることだ。
現在、自衛隊は出兵していないが(※2026年3月の日米首脳会談では、「停戦後(「交戦状態」が解除されるまでという意味だろう)」まで、自衛隊のホルムズ海峡などへの出兵はないとの、一応、トランプとの合意を取り付けた――この問題は【連載次回】で展開する)、日本は「イラン侵略戦争出撃基地化」とでもいうべき状況にある。
合衆国中央軍は、4月20日、沖縄(「キャンプ・ハンセン」を拠点とする)に駐留する海兵隊即応部隊「第31海兵遠征部隊」が、アラビア海で、イランの貨物船を拿捕したと発表した。イランの貨物船が6時間にわたる警告にしたがわなかったというのが、直接の理由だ。同部隊は3月27日に、米海軍の強襲揚陸艦「トリポリ」(米海軍佐世保基地を母港とする)とともに中東に到着、拿捕などの任務に着手している。さらに、沖縄・嘉手納基地に駐留する第18航空団から、米国とイスラエルのイラン空爆作戦のために派兵がなされているという。(参照:TBS NEWS2026年4月20日(参照:PBC 琉球放送より)タイトル「イランの港湾封鎖で米軍が貨物船に砲撃、沖縄駐留の米海兵隊即応部隊「第31海兵遠征部隊」が拿捕 米軍が映像公開」)
こうした現実は、他の日本の米軍基地においても、展開していくと考える必要があるだろう。
この連載の「後の回で欧州」をとり上げるとき具体的に(手続きの問題も含めて)触れるが、欧州では、イタリアのメローニ政権をはじめとして、イラン出撃のために国内の基地は使わせないという政府が名乗りを上げ始めている。こうしたNATOの一部とは、逆の現象が日米安保軍でおこっているということだ。
2026年3月の日米首脳会談で、トランプ大統領が、高市首相に「ステップアップ」といい、「日本はNATOとは違う」と言った一つの意味(数個の意味があると思われるが――このことは【連載次回】に記述する)がここにあるだろう。
こうした事実の背景・前提にある、高市一派の、「集団的自衛権」(日米同盟)の組み立て方の【法的根拠】をなす、その法制的立ち位置について、今回は、考えていきたいと思う。
≪4≫日米右派・高市一派の軍拡路線――その【法制的立ち位置】について
●【「台湾有事」のシミュレーション】(この「●」節は、前回の「連載第5回」、既出のもの)
ひとつのシミュレーションから始めよう。
「台湾支援のために、アメリカ軍を派遣するとしても、ウクライナ戦争と同様に、台湾への支援を武器供与、情報提供、訓練支援にとどめるケースはありえるだろうか。情報提供と訓練支援は可能であるが、問題は武器供与である。ウクライナの場合は、ポーランドと国境を接していたために、ポーランドに兵站拠点を置いて、陸路でウクライナに武器を供与できた。
しかし、台湾は島国なので、陸路での武器供与は不可能である。海上輸送か空輸になるが、台湾東部・北部周辺の航空優勢を確保しないと、空輸は困難である。海上輸送になると、先島諸島か沖縄本島に兵站拠点を置くことになる。そこからアメリカ軍の補給艦で台湾の港に武器、弾薬、燃料、食糧等を輸送しようとした場合、台湾東岸周辺海域で、中国海軍の艦船が待ち受けている。中国空軍の戦闘機部隊が展開している可能性もある。中国軍を撃破しないかぎり、台湾に武器、弾薬、燃料、食糧等を輸送することはできない。つまり、ウクライナ戦争のように、台湾への支援を武器供与にとどめることは不可能ということだ」(201~202頁)。
(福好昌治(軍事ジャーナリスト)「クアッドとオーカスは台湾有事に役立つのか?」『軍事研究』2023年7月号)
そこで、こういう想定でこうなった場合においては、日本の「存立危機事態」か、否か、が問題となるだろう。ここで、想起するべきは、NSS2025が、次のようにのべていたことと直結する話だ。
「その際(防衛費増額――引用者・渋谷)の焦点は、敵対勢力を抑止し、第一列島線を防衛するために必要な能力--新たな能力を含む--に置かれる」。
このことは、「防衛費」に限らず、「同盟国の責任」という概念におおきく包摂されたものだと考える必要があるだろう。
2025年11月07日、衆議院予算委員会で、高市首相は、有事問題に関する野党の★次の様な★質問に対して、「台湾有事=存立危機事態」との認識を示す、★★次のような★★発言をおこなった。まさに「日米右派・高市一派」のポイントをなすものだ。
★★★ここから【連載第6回】新稿です★★★
●【「2025年11月07日、国会衆議院 会議録」より――「集団的自衛権」による日米安保軍のレベルアップ、そして軍拡路線のステップアップを象徴する高市首相の「台湾有事」発言】●
★★★中国では、「高市政権=日本軍国主義の再来・復活」などといった批判が、おこっている。中国政府は、高市首相の以下に見てゆくような「台湾有事発言」の撤回をもとめている。これに対し高市首相は、撤回に応じる気配はない。そして、これが、米中争闘戦の、アジアにおける合衆国の同盟国・日本の権力者の高市一派としてのスタンスにほかならない。
まさに、中国当局の、「日本への観光旅行をやめろ」という中国民衆へのアピールも、そういう事のあらわれだ。
まさに、こうした関係が、現在の日中関係の基本となりつつある。
かかる国会でのやり取りは、日本の対中関係、アジアでの、日本の米中争闘戦に対するかかわり方、を考えるうえで、前提をなすものにほかならない。
【以上の位置づけ】から、本連載第6回は、この問題を、扱うものとする。
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2025年11月07日の国会質疑では、立憲民主党・岡田克也委員(当時)の質疑において、外交政策についての首相の姿勢に関する質問のあと、次に、有事法制での「存立危機事態」の認定についての質問となった。
まず、この岡田委員と高市首相のやり取りを見る前に、★★このやり取りの前提となる「武力行使の新三要件」と有事「事態」の三つの規定を確認★★しておこう。
●≪武力行使の新三要件≫
≪まず、「武力行使の三要件」≫だが、★★2015年制定された「平和安全法制整備法」★★の内の★★自衛隊法及び事態対処法★★に「過不足なく書き込まれている」とされるもので、これは、2014年7月01日の閣議決定によるものを、基にしているものだ。
「集団的自衛権」の規定では、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態や国際社会の平和及び安全を脅かす事態」において,他国軍隊に対する支援活動が可能になった。
その場合、 「集団的自衛権」の行使が容認されるのは,「新三要件」という「厳格な要件が満たされる」場合に限られるとされ、 自衛の措置としての「武力の行使」のための「新三要件」を規定することとなった。
「(1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと,★★又は我が国と密接な関係
にある他国に対する武力攻撃が発生し★★(ここが、「集団的自衛権」の行使として新三要件」として対象化されているところだ)、これにより、我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な
危険があること。
(2)これを排除し,我が国の存立を全うし,国民を守るために他に適当な
手段がないこと。
(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」。ということである。
★★この「新三要件」と、安保法制の有事の「事態」との対応関係を質問したのが、ここで見る国会での岡田委員の質問ということになる。★★
【次に、法律として定められた有事の三つの「事態」を確認】する。その内の「武力攻撃事態」と「存立危機事態」の区別と連関が、岡田委員と高市答弁のやり取りの契機となったものだ。★★
●≪「有事」に関する三つの「事態」―「重要影響事態」「武力攻撃事態」「存立危機事態」≫
★★まず、その三つの「事態」を概観しよう。★★二つの法律が重要だ。
◆重要影響事態安全確保法(これは「周辺事態安全確保法」から「我が国周辺」という地理的概念を消去したものだ。2015年成立。★この法律では「武力行使不可」★)。
第一条 この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下★★「重要影響事態」★★という。)に際し、合衆国軍隊等に対する後方支援活動等を行うことにより、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与することを中核とする重要影響事態に対処する外国との連携を強化し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。
◆武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(「事態対処法」)(⇒2003年に施行された「武力攻撃事態対処法」に、2015年、集団的自衛権の行使を可能とする「存立危機事態」が新設された)
(定義)
第二条 この法律(第一号に掲げる用語にあっては、第四号及び第八号ハ(1)を除く。)において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 武力攻撃 我が国に対する外部からの武力攻撃をいう。
二 ★★武力攻撃事態★★ 武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態をいう。
三 武力攻撃予測事態 武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいう。
四 ★★存立危機事態★★ 我が国と【密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し】、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう。……
八(この8の「イーロ」は省略します)
ハ(イ―ローハの「ハ」) 存立危機事態を終結させるためにその推移に応じて実施する次に掲げる措置
ハー(1) 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるもの(以下「存立危機武力攻撃」という。)を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開その他の行動。……
第三条 7 武力攻撃事態等及び存立危機事態への対処においては、日米安保条約に基づいてアメリカ合衆国と緊密に協力するほか、関係する外国との協力を緊密にしつつ、国際連合を始めとする国際社会の理解及び協調的行動が得られるようにしなければならない」。
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★★ここで以下、問題となることは、武力行使不可の「重要影響事態」ではなく、「武力攻撃事態」と「存立危機事態」との関係だ★★。
★以上を確認したうえで、岡田委員と高市首相の質疑をみてゆこう★。やり取りは長いので、省略することをお許し願いたい(衆議院のホームページで全文読めるものです)。
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●≪「存立危機事態」の法解釈の非限定性≫
「○岡田(克)委員 新しい外交を切り開きたいという総理の思いは分かります。だけれども、前任者たちに対する敬意というものもしっかり持ちながらやっていただきたいというふうに思います。
さて、二番目の存立危機事態について、少し時間をかけて議論したいというふうに思っています。
実は、十年前にこの法律ができたときに、私は野党の代表でした。そのときの私の思いを申し上げますと、従来の個別的自衛権では対応できない事例があるということは認識していました。
例えば、もう既に米軍が戦っているときに、米軍と自衛隊が共同で対処している、それで、米艦が攻撃されたときに、自衛隊は、日本自身は武力攻撃を受けていないという段階で、それを放置するというわけにはいきませんから、これをどういうふうに説明すべきか。一つは、個別的自衛権の解釈を拡張するという考え方。もう一つは、集団的自衛権を制限して認めるという考え方。両様あり得るなというふうに思っておりました。自民党の中には、全面的な集団的自衛権を認めるべきだという議論もかなりあったと思うんです。
そういう中で★★安倍さんが出してきたのが、この存立危機事態という考え方★★でした。我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態ということであります」。
「我々は、★★★この概念がかなり曖昧であると★★★。例えば、我が国の存立が脅かされる、これはどういう意味だろうか。それから、国民の基本的権利が根底から覆される明白な危険、これも非常に抽象的な概念ですね。だから、★★武力攻撃事態みたいに我が国が攻撃されたというものと比べるとかなり抽象的な概念★★
ですから、これで果たして★★限定になっているんだろうか★★と」。
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≪渋谷≫ここで、岡田委員は、「存立危機事態」は、解釈が広範で、限定されないものになる論脈をつくっていると指摘している。権力者の解釈によって、どうとでも意味づけできるものであり、限定をはっきりさせた法文ではないということだ。
●≪「武力行使三要件」に限定した高市発言の言い方に注意せよ≫
〇「岡田(克)委員「そこで、総理にまず確認したいのは、この存立危機事態、いわゆる限定した集団的自衛権の行使ですね、これ以外の集団的自衛権の行使、つまり、限定のない集団的自衛権の行使は違憲である、これは従来の政府の考え方だったと思いますが、そういう考え方は維持されていますか。
○高市内閣総理大臣 憲法上、我が国による武力の行使が許容されるのは、いわゆる三要件を満たす場合の自衛の措置としての武力の行使に限られます。そして、この三要件は国際的に見ても他に例のない極めて厳しい基準でありまして、その時々の内閣が恣意的に解釈できるようなものではないと思っております。
先ほど来、存立危機事態における武力の行使についてお話がございましたが、これも、限定された集団的自衛権の行使、すなわち、あくまでも我が国を防衛するためのやむを得ない必要最小限度の自衛の措置としての武力の行使に限られていて、集団的自衛権の行使一般を認めるものではなく、他国を防衛すること自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められないという政府の見解に変更はございません」。
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≪渋谷≫以上では、高市首相は、「武力行使三要件」にあわせた、「集団的自衛権」の行使についての法解釈をのべているといえる。だが、★すでにこの三要件は「集団的自衛権」に対応して、上記に記したように「新三要件」に書き換えられている★点に注意するべきだ。
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(中略)
●≪「台湾有事」の想定では、何が考えられるか≫
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≪渋谷≫そこで、具体的なケーススタディで、どのように考えられるかが、課題となる。
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「○岡田(克)委員 例えば、失礼ですが、高市総理、一年前の総裁選挙でこう述べておられるんですよ。中国による台湾の海上封鎖が発生した場合を問われて、存立危機事態になるかもしれないと発言されました。
私も、絶対ないと言うつもりはないんです。だけれども、これはどういう場合に存立危機事態になるというふうにお考えだったんですか。お聞かせください」。
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≪渋谷≫どのように「存立危機事態」という概念を、どのような個別の事象に対して、適用できると、考えたのか、という質問だろう。
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○高市内閣総理大臣 台湾をめぐる問題というのは、対話により平和的に解決することを期待するというのが従来からの一貫した立場でございます。
――――
≪渋谷≫これは、日本政府の立場の表明であり、中国中南海も基本は「平和統一」を目標にしていることの、確認ではない点に、注意する必要がある。中南海は、本連載第5回でのべたように、平和統一に対する例外規定として、武力統一の契機についてのポイントをいくつか挙げている。対中外交的には、「台湾有事」を質疑に出す場合、そのことを、まず確認する必要が、あったはずだ。
★★さらに★★★、このやり取りでは、中国中南海が「台湾問題は、中国の内政だ。外国は干渉するな」と言っていることについても、対応する必要があっただろう。少なくとも「中国の言う通り内政に関わることだが、この問題では、地政学上、多くのシミュレーションが、日本の有事に関わる可能性がある問題だとしている」ことぐらいは、外交的発言の問題として、言っておく必要はあったと考える。
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(中略)
〇高市総理大臣「その上で、一般論として申し上げますけれども★★、今、岡田委員も、絶対にないとは言えないとおっしゃっておられました。いかなる事態が存立危機事態に該当するかというのは、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、全ての情報を総合して判断しなければならないと考えております★★。
存立危機事態の定義については、ここで申し述べますと時間を取りますが、事態対処法第二条第四項にあるとおりでございます」。
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≪渋谷≫以下は、そこで、「海上封鎖」という事象(高市氏自身が、過去に語ったもの)では、どうかと岡田委員は問うている。
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●≪想定の中の「海上封鎖」をめぐって――同盟国に対する同盟軍支援の範囲が限定されていないという問題≫
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≪渋谷≫★★★この場合ポイントは、岡田委員の質問趣旨は、「存立危機事態」の行政権者による実践的・実務的解釈が、「武力行使三原則」の国防上の最低限度の必要によるという法的基準から、大きく乖離してゆく場合があるのではないか、ということだ、と考える。★★★
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「○岡田(克)委員 海上封鎖をした場合、存立危機事態になるかもしれないというふうにおっしゃっているわけですね。
例えば、台湾とフィリピンの間のバシー海峡、これを封鎖されたという場合に、でも、それは迂回すれば、何日間か余分にかかるかもしれませんが、別に日本に対してエネルギーや食料が途絶えるということは基本的にありませんよね。だから、どういう場合に存立危機事態になるのかということをお聞きしたいんですが、いかがですか。
○高市内閣総理大臣 これはやはり他国に、台湾でしたら他の地域と申し上げた方がいいかもしれませんが、あのときはたしか台湾有事に関する議論であったと思います。その台湾に対して武力攻撃が発生する、海上封鎖というのも、戦艦で行い、そしてまた他の手段も合わせて対応した場合には、武力行使が生じ得る話でございます。
★★例えば、その海上封鎖を解くために米軍が来援をする、それを防ぐために何らかのほかの武力行使が行われる、こういった事態も想定されることでございますので★★、そのときに生じた事態、いかなる事態が生じたかということの情報を総合的に判断しなければならないと思っております。
単に民間の船を並べてそこを通りにくくするといったこと、それはそういった存立危機事態には当たらないんだと思いますけれども、実際に、これがいわゆる戦争という状況の中での海上封鎖であり、またドローンも飛び、いろいろな状況が起きた場合、これはまた別の見方ができると考えます。
○岡田(克)委員 ★★★今の答弁では、とても存立危機事態について限定的に考えるということにはならないですよね。非常に幅広い裁量の余地を政府に与えてしまうことになる★★★。だから、私は懸念するわけですよ。
もちろん、日本の艦船が攻撃を受ければ、これは武力行使を受けたということになって、存立危機事態の問題ではなく、武力攻撃事態ということになるんだと思います。そういう場合があると思いますけれども、★★★日本の艦船が攻撃を受けていないときに、少し回り道をしなければいけなくなるという状況の中で存立危機事態になるということは、私はなかなか想定し難いんですよね★★★。そういうことを余り軽々しく言うべきじゃないと思うんですよ」。
―—―
≪渋谷≫ここに、「集団的自衛権」(同盟国との攻守同盟)」の解釈の範囲、位置づけをめぐる、政治的立場での解釈の違いの問題があらわれているということだ。「どこからが、同盟軍支援の対象となりうるか?」 支援の法的根拠、あるいは法治国家としての法規的資格の問題がある、ということだ。
——―
(中略)
〇高市内閣総理大臣 「先ほど有事という言葉がございました。それはいろいろな形がありましょう。
★★例えば、台湾を完全に中国、北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか★★。それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それはいろいろなケースが考えられると思いますよ。だけれども、★★★それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースである★★★と私は考えます。
実際に発生した事態の個別具体的な状況に応じて、政府が全ての情報を総合して判断するということでございます。実に武力攻撃が発生したら、これは存立危機事態に当たる可能性が高いというものでございます。法律の条文どおりであるかと思っております」。
○岡田(克)委員 ちょっと最後の表現がよく分からなかったんです。武力攻撃が発生したら存立危機事態に当たる。どういう意味ですか。武力攻撃が誰に発生することを言っておられるんですか。
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≪渋谷≫高市首相は、同盟国(の艦船など)が、攻撃を受けたら、という解釈だ。高市は「台湾を完全に中国、北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか」と、前提をつけて質問に応じている。これは、「国際秩序の現状変更」に反対するという事だろう。だが本連載第5回でのべたように、ホワイトハウスも、「あいまい戦略」で、煙幕を張っているストーリーを、国会で日本の首相が、一つのリアルなケースとして挙げ、それに対して、日本政府の方針(「存立危機事態に当たる可能性が高い」と高市が言う言葉に則していうのなら)としての可能性の一つを、公言するというこということになっているのである。
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(中略)
○高市内閣総理大臣 武力攻撃が発生をして、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合という条文どおりでございます。
○岡田(克)委員 だから、我が国の存立が脅かされるかどうか、それから国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるかどうか、その判断の問題ですね。★★それを、いろいろな要素を勘案して考えなきゃいけないという総理の答弁では、【規範としての、条文としての意味】がない★★んじゃないかと思うんですよ。もっと明確でなければ、★★★結局どれだけのこともできてしまうということになりかねないと思うんですね★★★」。◆会議録からの引用、終わり◆
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●≪高市首相の「台湾有事」発言は日本国家権力の「集団的自衛権」行使と日米共同軍の法制的立脚点を示している≫
これらが、「高市首相「台湾有事」発言」の、やり取りである。これを読んだ、渋谷の意見だが。
①まず法解釈として、この高市首相の発言では「集団的自衛権」の解釈は、無限に広がっていくということだ。高市一派にとっての同盟国・同盟軍である合衆国トランプ一派と米軍を強く意識したものだ。
②「集団的自衛権」を持つこと自体が、こういう無原則な広がりを戦時法制に持たせるという事である。だから、わたしは「集団的自衛権」に反対する。
③「台湾有事」がケーススタディとなり、少なくとも中国中南海の立場(基本は「平和統一」だ)が、この質疑で確認されていない時点で、これらの高市首相の発言は、対中外交を実践的に放棄した発言となっている。いやそればかりではない。それは、「対中争闘戦」としての意味を持つ程の危険なものだ、と考えた方がいい。しかも、前提として、首相が国会(国権の最高機関)の質疑で、法的根拠(★以上の様な内容で、高市首相が法解釈するということだが★、いずれにしろ、これが、公的な「首相判断」には変わりない)にもとづく発言【として】言うというとんでもない話となっているのである。この三点は、指摘しておきたい。
★★まさに、こうした「存立危機事態」の規定に典型的にみられるのが、高市軍拡路線の基本にあることだ★★。そして、この対中スタンスこそ、トランプ一派が世界戦略地図として実践している「米中争闘戦」への参戦、まさに高市一派の日米安保軍(日米共同軍)としての問題意識を、見事に表明するものとなっているのである。
★以上が、高市一派の軍拡の【法制的立脚点】の中心にあることだ。★
次に、こうした軍拡路線の様々に特徴的な政策を見て行こう。
【日本国内の軍備増強】と【安保三文書改訂問題】、さらに【インテリジェンス政策】【改憲問題】などにその大きな特徴があると考える。また、そこでは経済安保問題などが重要な課題になってくるだろう。次にこれらの政策をみていこう【つづく】。