没後20年
廣松渉読書案内
今年は 廣松渉(1933~1994年、東京大学名誉教授。新左翼ブント(共産主義者同盟)同伴知識人)の没後20年にあたります。命日は5月22日でした。
廣松の何をどうよむか。それを解説するのは、たいへんなことなので、ぼくが考える、というか、ぼくにとって読みやすいだろうなという、その文献の読書順番を書いておきたいと思います。廣松は用語が超難解です。しかし例えばそれは、数学の解き方と同じことで、廣松が用いている一定の用語の意味と使い方を暗記してしまえば、超わかりやすくなります。
以下の図書は、『事的世界観への前哨』を除いて、ほとんどが、岩波から出ている『廣松渉著作集』に収録されています。
●入門三冊
『唯物史観の原像』(三一新書)、『哲学入門一歩前』(講談社現代新書)、『新哲学入門』(岩波新書)。
(ここに、『もの・こと・ことば』(勁草書房)、『哲学体系への新視軸』(情況出版)などがはいりますが、細かくすることが目的ではないので、ここまでとします。)
●さらに理解を深めるために
『マルクス主義の成立過程』(至誠堂選書)、『唯物史観と国家論』、『唯物史観と生態史観』(講談社学術文庫)。『現代革命論への模索』(新泉社)、『今こそマルクスを読み返す』(講談社現代新書)。『マルクスと歴史の現実』(平凡社)。
(ここに、『エンゲルス論』『青年マルクス論』『マルクス主義の理路』『マルクス主義の地平』『資本論の哲学』などが、入りますが、それは、興味の範囲で……)
●廣松のパラダイムを読み解く
『相対性理論の哲学』(勁草書房)、『弁証法の論理』(青土社)、『物象化論の構図』(岩波書店)、『<近代の超克>論』(講談社学術文庫)、『ヘーゲルそしてマルクス』(青土社)。
●中心命題
『世界の共同主観的存在構造』(講談社学術文庫)、『事的世界観への前哨』(講談社学術文庫)、主著『存在と意味』(岩波書店)。
では、読みたいと、思っている方々のご健闘を祈ります。