【連載】イラン侵略戦争とNSS2025
【第一回】トランプ一派とイスラエルによるイラン侵略戦争を弾劾する!
渋谷要
●米帝トランプ一派による世界戦略地図の更新——二つの「反米親中」国家の壊滅
トランプ一派の世界戦略は、【後述するように】、「NSS国家安全保障戦略2025」に明らかだが、まず、現在(2026・3.03)進行しているイラン侵略戦争事態を見て行こう。2月28日に始まった米帝トランプ一派とイスラエルによるイラン侵略戦争は、イランの報復反撃を結果し、イランは、中東全域に展開する米軍基地などに、報復攻撃を敢行している。まさに、中東全域を巻き込む地域戦争として拡大している。トランプは「目的を達成するまで攻撃を続ける」といっており、「体制転覆」を目指している。イランの市民に対し「われわれの攻撃が終わったら、君たちはイラン国家をとりもどせ」とアジテーションをしているのだ(3・02)。そうした中で、イラン市民の側で多くの死者がでてきている(数字は今後どれだけ変わるかわからないので表記しない)、また、米軍にも戦死者が出始めている。
この戦争では、合衆国トランプ一派は、その世界戦略においては、実に様なことが目標になっていると分析する以外ない。ひとつは、【後述する】NSS(国家安全保障)戦略2025での、「力による平和」の構築として、これまでの戦後世界の体制であった、国連の国連憲章・国際法体制のひとつの根幹をなす「先制攻撃の禁止」(国家自衛権の発動要件)を否定し、国家主権や国境(の一体性)などに対する「力による現状変更の禁止」を、否定するものとして、軍事力がすべてを決するという「砲艦外交」を、日常化させてきている。こうした手段でもって、NSS2025に述べられているような「西半球」における「アメリカ・ファースト」の勢力圏の形成という世界戦略地図を強化しようとしているということだ。また、【そのために】する課題として、中国に対する経済的プレッシャーと中国と一体となった、中国「一帯一路」の「反米」拠点国家、まさにイランとベネズエラ指導部の粉砕を彼らトランプ一派は設定したのであった。
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※そして、イラン侵略戦争では、ここに、イスラエルが参戦しているのは、イランがイスラエルを攻撃していることに対する自衛権ということを基本としつつ、【後述するように】、反米国家イランや「抵抗の枢軸」(ヒズボラ、ハマース、イスラム聖戦、イラン革命防衛隊など)をせん滅し、「大イスラエル構想」を実現することに関係した話だ。大イスラエル構想…ソロモン王時代イスラエル王国の領土に関する旧約聖書の解釈として、パレスチナ自治区ガザ地区とヨルダン西岸だけではなく、現在のヨルダン、レバノン、シリアの一部を含む地域を対象とする。→それでか、どうか、2026/2/03,イスラエルはレバノンに地上侵攻を開始した。国防省は「支配地域拡大」を指示したということだ(日テレNEWS3/03 19:54配信))。
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【反米親中国家=イラン国家体制の壊滅】
ひとつはイランに対する攻撃。
2月にはじまったイラン侵略戦争では、空爆攻撃によってイランの最高指導者・ハメネイ師を殺害。同場所で同時に革命防衛隊総司令官のバクプール氏など数名の指導者が殺害された。それ以降、おおくのイランの指導者たちが殺害されている。そしてその爆撃は、市民生活を直撃している。イランは、「上海協力機構(SCO)」やBRICS加盟国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、イラン、エジプト、アラブ首長国連プ連邦、エチオピア、インドネシア10か国)として、親中派の外交を展開してきた。まさに中東における「一帯一路」の拠点国家として、中国への石油などの輸出でも大きく貢献してきた。
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※中国は「エネルギー分析企業「Kpler」の2025年のデータによると、中国はイランの原油輸出量の80%以上を購入している。中国は昨年、イラン産原油を1日平均138万バレル購入しており、これは中国が海上で輸入した原油総量1027万バレルの約13.4%に当たるとロイターが報じた。さらに、中国に輸入される原油の3分の1はホルムズ海峡を通過するとされ、今回の事態が中国のエネルギー需給に大きな影響を及ぼす可能性がある」(「中央日報」2026/3/02、6:46」「中国 原油需給に警戒つよまる」記事より)。
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【国際強盗会議でしかない「平和評議会」——イランの地域ヘゲモニーを破壊せよ、という事になった のだ】
このイラン侵略戦争は、ガザ虐殺戦争の第二章といえるものである。
2025年後半に「停戦」となったイスラエルのガザ虐殺戦争では、ガザのリゾート地化政策(パレスチナ人民の強制移住を前提としている)を突破口に、中東への支配を確立してゆくという事がトランプ一派の課題となっている。「平和評議会」なる、ガザ・パレスチナの当事者を除外した、主要に欧米の政治・経済の権力者たちとイスラエルがその強盗会議の構成者たちの権力がそれをしめしている。そして「治安部隊」も建設するという。
これは、2026年1月発足した。国連安保理で承認された(2025年11月17日、安保理決議2803号)時限付き(2027年末まで)の機関であるが、この機関の憲章ではこの機関の対象範囲を「ガザ」に限定していないものとなっている。だから、例えば欧州諸国の中から、国連との二重性を懸念する声もあがっている。議長はトランプであり、彼はこの評議会の合衆国代表を兼任している。
活動の実態だが。2026/2/20BBC NEWS(エイミー・ウエイカー記者、トム・べイトマン米国務省担当編集委員(米首都ワシントン)が、伝えた(「トランプ氏のガザ『平和協議会』が初会合……」)ところによると。2月19日、「平和評議会」の初会合がおこなわれ、そこで、トランプ氏が「救済パッケージ」(なるもの)に、「カザフスタン、アゼルバイジャン、UAE(アラブ首長国連邦)、モロッコ、バーレーン、カタール、サウジアラビア、ウズベキスタン、クウェートが70億ドル超えの拠出をした」と発表。また、FIFA(国際サッカー連盟)がガザでのサッカー事業として7500万ドルを調達すると発表したという。この評議会には今あげた諸国の他、トルコ、エジプト、パキスタン、ハンガリー、ベトナム等々が参加している。こうなってくると、この中東地域での、ヘゲモニーが問われてくることになるだろう。イラン・ヘゲモニーは、トランプ一派の目的を十分に阻害しているだろう。
【「ミッドナイト・ハンマー」作戦から「壮絶な怒り(エピック・ヒューリー)作戦」へ】
まさに、中東における反米親中派の拠点国家イランを粉砕することが、国際的なヘゲモニー掌握の問題として、課題となってきたのである。それはアメリカが有利なような、石油などの資源・開発投資に関する様々なディール市場、まさに広範囲な多義にわたる資本蓄積戦略を組織していこうという話にほかならない。だからここでもアメリカ・ファーストのサプライ・チェーンの構築が目指されることになるだろう。
「核開発」疑惑は、そのため(イラン・ヘゲモニーを粉砕するため)の、重要なカードになってきたのである。それが、2025年6月21日にトランプ一派が決行した、イラク核施設などに対する「ミッドナイト・ハンマー」作戦だったのだ。それ以降、対イラク攻撃の臨戦態勢の構築に入っていくことになったのだ。その結実が、2/28(2026)の「エピック・ヒューリー」作戦だったのである。
【ベネズエラ侵略戦争とトランプ一派の対中国包囲網】
2026年、一月には反米独立国家であり、「一帯一路」の南米における拠点国家であったベネズエラに対する侵略奇襲戦争で、マドゥロ大統領を拘束し、米国に移送し収監した。これは麻薬密輸に対する取締で、刑事裁判にかけるという治安目的での理由からだ。それ以降、ホワイトハウスと協調してゆける――ビジネスの話・デイ―ルができる――指導者体制が現れた。トランプはキューバに対しても、「友好的に支配する可能性」などと挑発的な発言をし始めている(「トランプ氏『キューバを“友好的に”支配する可能性』ベネズエラに続きキューバへの圧力強めるアメリカ」「TBS NEWS DIG」2026/2/28、15:26配信)。
だからこうした事態は、トランプ一派が、世界戦略地図を「アメリカ・ファースト」で塗り替え、同時にその一環として、中国に対して「一帯一路」戦略に破滅的な打撃を与えるものにほかならない。
まさに石油・天然ガスの生産大国イランとベネズエラ(原油埋蔵量で世界トップクラス。ボーキサイト、鉄鋼、ニッケルなど鉱物資源の生産、工業製品の輸出品目でも、これらの資源からの製品からが、輸出項目の大部分を占めている)は、原油輸出量の大きな割合を中国に供給してきた。これらの原油などの資源が、――ベネズエラでは2026年1月石油輸出を合衆国が管理することになった――合衆国のコントロールによって支配されることになるだろう。ベネズエラ占領は、【後述するように】、米帝トランプ一派の「西半球」覇権戦略(「西半球」での他の大国の一切の政治経済・軍事のヘゲモニーを許さないというもの)の前提をなすものだ。
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原油供給の困難化と同時に、戦争の攻防によってホルムズ海峡が閉鎖されるなら、クウェートなどからのアジアへの原油輸送は危機に陥るだろう。これらのことは中国にとって親中国国家からの安価な原油が、この先、減少することを意味している。例えば中国の原油輸入量の約三分の一以上は、ホルムズ海峡を通過している。【つづく】